
ユニフレームというメーカーは、母体が燕市の業務用調理機器のメーカーという事情もあるのか、社員はまず金属加工や素材について叩き込まれるという話を聞いたことがある。素材について熟知しているから、使用目的に合わせてきちんとしたモノを高度な技術で作り上げ、簡単に壊れてしまうということはない。そういう意味では「アイデア倒れ」の物は作らないメーカーなのだが…。

ツーバーナーで調理中、鍋の蓋をちょっと置いておきたいが野外では調理台のスペースも無いか、あっても狭い。下に置いたら土がついてしまう。どこかにちょっと取っ手を引っ掛けて置けるところはないか…作ってしまうところがこの会社のユニークなところだと思う。しかも、こんな形に。
ステンレスの線材のバネ効果をうまく引き出すようにループさせ、その形を蝶になぞらえてしまう遊び心が楽しい。我が畏友けむたま氏が「この会社は、無くても困らないけどあるとつい欲しくなるものを作るのがうまい」と言ったけど、まったくその通りだ。開発者が直接実演して使い方を説明してくれたら、コロッと参って買ってしまった(ワケあり品だったから定価より安かったと思う)。
で、こういう実演販売の常、と言ったら怒られるな
使い慣れている人との違いと言えばいいのか
自分でやってみても、彼がやって見せたように綺麗にセットできないのだ。蝶の形が崩れたり、鍋蓋がすっぽり納まらなかったりで、どうもうまくゆかない。
でも、これは自分だけが不器用だというわけではなさそうだ。この製品、1996年のカタログで新製品として登場したものの、1998年のカタログからは消えてしまっている。同じく針金を曲げて作った(恐ろしく乱暴な表現で申し訳ない)コーヒーバネットがロングセラーになっているのに較べて、あまりにも短命ではないか。

カタログを見ていたら、あることに気がついた。当時ユニフレームにはカセットボンベ3本のガスを相互に消費して使うというユニークなツーバーナー『US-3000』という機種があったのだが、1996年のカタログを見るとマイナーチェンジされて「鍋の蓋が掛けられる切り込みフード」が装備されているのだ。善意に解釈すれば「『US-3000』を持たないユーザーのために『蝶のフタ掛け』を用意しました」ということになるのだろうが、意地悪い見方をすれば「『蝶のフタ掛け』が信用できないので独自に装備した」ともとれるし…さて、真相は?
ちなみに、我が家もその後US-1800を購入したらまったく出番が無くなってしまった(^^ゞ
カタログの写真で見ても判るとおり、1996年(上)と1997年(下)で多少デザインが違っているが、鍋蓋の載せ方も微妙に違っている。まぁそれは改善のためのマイナーチェンジだと思うのだけど、カタログには『蝶のフタ掛け』と書いておきながら、パッケージ(ウチにあるのは後期型)には『ちょうのフタ掛け』と書かれていたりで、結構アバウトな製品なのである。