
「子供が大きくなってきたから、そろそろ小さいテントが欲しいよ」
なんだか矛盾しているようだが、数年前からこう言い続けている。
今のテントを購入したのは最初の子が1歳になるちょっと前、翌月に初キャンプを控えているときだった。選定条件も乳幼児連れということを考えてのことだ。
- ・ドームテントであること
- 特に子連れだからって訳じゃなかったけど、今までも使っていたし、ロッジ型に較べてポールも少なく設営や運搬も楽だろう
- ・充分広いこと
- 赤ん坊は昼寝をさせなくてはいけないが、外では日光や風の影響がありすぎる。また、雨が降ったらテント内で過ごすことになるだろう
- ・背が高いこと
- これは自分にとっても着替えがしやすいという利点があるが、広いことも含めてテント内で動きやすいものがいい。というのも子供が何か思いがけない動きをして、それにつられてこちらがのけぞったりするような場合にも、広さや高さがあれば安全に対処できると思ったから
かくして6人用のドーム型というのが候補になり、ダンロップ、スノーピーク、ヨーレイカの3社の製品からこれを選んだというわけだ。偶然だが自分が買ったのと相前後して友人たちがダンロップとスノーピークの製品を購入した。すでにテントでは高い評価のあるダンロップとは対照的に、スノーピークはこれが初めてのテントだった。

ヨーレイカも、最初欲しかったのはこのモデルではなく「サンドーム」というやつで、グレーと赤紫のツートンが好きだったのだが、あいにくモデルチェンジしてこれになり、まぁフライに後室が標準装備になったのでオプションで買わずに済んだか。
この後室は荷物置場として役に立つ。ポートブルトイレを置いたら夜中に便利だなという話はするのだが、まだ試したことはない。トイレを持っていないし、たとえ家族とはいえ音や臭いがそばで伝わってくるのはなぁ…他人ならもっと厭だ。それにだいいち高さが足りない。
ドームテントとはいえ、このくらいの大きさともなると、それまで感じていたドームテントのメリットがかなりスポイルされていることに気づいた。背が高いのでフライを被せるのも手が届かずに一苦労だし、強風にも「形を変え、つぶれることで耐える」前にポールが折れるか飛ばされてしまいそうだ。まぁ、オートキャンプ用のファミリーテントとヒマラヤに持ってゆく極地用テントを較べるほうが悪いのだが。
背が高いというのにはもう一つデメリットがあった。テント内が温まらないのだ。我が家は春や秋にキャンプすることが多いのだが、かなり冷え込むときもある。そこでヒーターを使ったりもするのだけど、温まった空気は天井部分だけに溜まってしまい、床で寝ている人間には何の恩恵も与えないのだ。今までのテントは寝床を作っている間ランタンを灯しておくだけでホカホカだったのに、ずいぶん差がある。(テント内で火を使うことに関しては、何分以内とか身体を横たえない…うっかり眠らないように…など、厳しい自己ルールに基づいて実施しています。むやみに真似しないように)
フライと本体の間の通気性も大事だが、この件に関して言えば外国メーカーであるヨーレイカは日本の事情に合っていないなぁと感じてしまった。いちおうそれなりのクリアランスはあるのだが、全体のサイズが大きいこともあって、水気を含んだりして重みを増し、垂れてきたフライが本体にくっつきやすくなるのだ。雨の撥ねや雪を防ぐためのスカートも通気性を悪くして、2泊もするとフライの内側はびしょびしょになってしまった。このあたりの工夫は国内メーカーのほうが優れていると思う。
ともあれ、子供たちもだんだん大きくなり、タープの下で過ごす時間も増え、テントを「寝るため」だけに使うようになってくると、もう広さも高さもそれほど必要ない。そこで冒頭の発言になるわけだが、予算の都合もあってなかなか買い換えられずにいる。そんなことをしているうちに数年が過ぎてしまい、家族揃ってキャンプに行く機会そのものが少なくなりつつある。最初に言い始めたときは4人用のテントに買い換えるつもりだったのだが、今ではこのテントはこのまま残しておき、2人用を買い足そうかと思っている。
古い2人用のテントもまだ持っているし、オートキャンプならクルマの中に寝るということもできる。人数や場所に応じて組み合わせるのもいいかな、と。
ヨーレイカ
(1994年4月購入)