
テントを買って、さぁキャンプに行こうと思っていた矢先に高崎のショップで安売りされていた。安売りと言っても9,800円で、ここ数年ホームセンターで売られているツーマントルの値段から見るとずいぶん高価だが、当時としてはすごく安く感じた。
早速買ってきて、家で試しに点火してみた。昼間のことなのでそれほどの明るさは感じられなかったが、それでも本格的なキャンピングライフという雰囲気がして感激した。
その夏のキャンプに持参したのだが、どうしたことかちっとも点灯しない。何度試しても駄目。結局そのキャンプはランタン無しで過ごし、帰り道で買ったショップの前を通ったので店員に「点かなかった」と言ったところ、彼もまた店の片隅で何度も試した挙げ句、新品と交換してくれた。以後は順調である。
最初の頃は、キャンプを終える度にマントルを手で壊して持ち運んでいたが、後に専用ケースを購入し、常に立てて運ぶようにしたら、運搬によるマントルの破損はちっとも起きない。そのくせ毎年シーズン初めには予備のマントルを購入するので、ケースの底には未使用のマントルが貯まってしまった。
カタログでは連続使用時間が2時間となっているが、バルブを絞って常夜灯代わりに使った時には8時間以上点いていたこともある。
点火に際しては、バルブを開き、音を確かめてから一度閉じ、再び少し開いて…という手順があるようだが、面倒なのでいきなり点火することもある。ボッと炎が拡がるのがおっかなびっくりだが、自分流で慣れてしまった。
ランタンライターという点火器具を取り付けたこともあったが、ピーク1には大きさなどが合わないと見えて、全く使い物にならなかった。マッチを差し込むにはマントルの位置が遠いので、ティッシュをこよりみたいにしたり、ボールペンの軸にマッチを差し込んだりもしたが、たいていはベンチレーターとホヤを外して点火し、火が点いた状態で慌てて組み立てるという端から見ると愚かしい事をやっているが、これも自分流。
ある時、傾斜地でランタンスタンドごと倒してしまい、さすがにこの時はマントルが割れたが本体は無事…と思ったら点かなくなった。家に帰って分解したら、ジェネレーター内部のロッドとダイアルの連結部が外れて、クリーニングニードルが曲がっていた。ペンチで修理したが、この時以来すんなり消えなくなってしまった。ダイアルをOFFの位置まで回しても数分間ボッボッっと消え残ってしまう。ジェネレーターを交換すればいいのだろうが、面倒なのでそのまま使っているうちに燃焼器具ガス化の波に飲まれて出動する機会が滅多になくなってしまった。
でも、手放せないでいる。
…と最初に書いたのが1996年だった。その時は確かに「手離せない」と思っていたのだが、2002年の秋に手離してしまった。最後にきちんと写真を撮っていたのだが、ふとした操作ミスでデータの入ったMOを読み取り不能にしてしまい、スナップの中から掲載写真を探さなければならなくなってしまった。しかし、モノがランタンゆえ、画面中央で写っているものが少なく、たいていは画面の上の方で一部が切れているものばかりだった。