
アウトドアに興味を持ち始めた頃読んだキャンプの入門書に「テント内でローソクの灯が消えたら酸欠の恐れあり、換気しろ」というような内容の記述があったのを今でも覚えている。それよりずっと前、中学生の頃に同級生と自転車に借り物のテントを積んで初キャンプに行った時は確かにローソクと懐中電灯だけが夜の明かりだった。
もちろん今はローソクなんてキャンプの時には使いやしない。非常用として常備している家庭だって無いだろう。実用品ではなく、パーティやセレモニーの際に雰囲気を盛り上げる小物として使うのがほとんどだと思う。
実を言うと、これを買ったときも本気でキャンプで使おうとは思っていなかった。せいぜい常夜灯としてテントの軒先やタープの下に吊るしておくくらいかな。よくアメリカの通販カタログで見かけるのが金色に輝く真鍮製のヤツ。格好良さは抜群だが、あれこそ実用品というよりも書斎のインテリアという気がしないでもない。
自分が買ったのは、値段が安いアルミ製。だが、見ての通りクリスマスカラーなのである。パソコン通信のフォーラムで知り合った座敷さんという人によれば、アメリカ人にとってクリスマスは一年で最大のイベントで、いろんな品物に「クリスマス特別バージョン」が作られるそうだ。ちなみに懐中電灯マニアの彼は『クリスマスカラーのミニマグライト』を持っているらしい。
その彼によると、このキャンドルランタンは他の類似のランタンに較べると性能的に劣っているのではないかと思っているとのこと。何が悪いかというと、
1. 点火消火がしにくい
他社の製品では上部の蓋を開けたりして点火できる製品があるが、
これはキャンドルを抜いて点火しなければならない。
消火も同じ要領でしないと気化したロウでホヤが曇る。
2. キャンドルを押し上げる底+バネの部分のデザインが悪い
キャンドルを保持するシリンダーの下の底のピストンのデザインが悪く
キャンドルが押し上げられずにシリンダの中で燃焼してしまう事がある
という点だそうだが、使ってみて納得した。2.に関して言えば、ランタンが揺れたときなどに溶けたロウがキャンドルとシリンダーの間に流れ込み、キャンドルを押し上げる動きを妨げることもあるようだ…なんだ、あまり野外向きではないな。

つまるところ、食卓に置いてムーディな雰囲気を楽しむ程度にしか使えないようだ。もちろんこちらもそのつもりで買ったのだから一向に構わないのだけど。
と言いながらもオプションのリフレクターもしっかり一緒に購入していたりする…いや、最初に緑だけを買って後から赤とリフレクターを買ったのかな? ああ、たぶん緑だけを買おうとしてパソコン通信で書き込んだら、周りでクリスマスバージョンだの自分はフルオプションでオーダーしただのというコメントが寄せられて、赤と緑の本体、ケース(フリース地の袋)、リフレクター、補充用キャンドルをオーダーしたのだろうな。
R.E.I.はメーカーではないけど、オリジナル製品ということで表記しました。

ユニフレームというメーカーは、母体が燕市の業務用調理機器のメーカーという事情もあるのか、社員はまず金属加工や素材について叩き込まれるという話を聞いたことがある。素材について熟知しているから、使用目的に合わせてきちんとしたモノを高度な技術で作り上げ、簡単に壊れてしまうということはない。そういう意味では「アイデア倒れ」の物は作らないメーカーなのだが…。

ツーバーナーで調理中、鍋の蓋をちょっと置いておきたいが野外では調理台のスペースも無いか、あっても狭い。下に置いたら土がついてしまう。どこかにちょっと取っ手を引っ掛けて置けるところはないか…作ってしまうところがこの会社のユニークなところだと思う。しかも、こんな形に。
ステンレスの線材のバネ効果をうまく引き出すようにループさせ、その形を蝶になぞらえてしまう遊び心が楽しい。我が畏友けむたま氏が「この会社は、無くても困らないけどあるとつい欲しくなるものを作るのがうまい」と言ったけど、まったくその通りだ。開発者が直接実演して使い方を説明してくれたら、コロッと参って買ってしまった(ワケあり品だったから定価より安かったと思う)。
で、こういう実演販売の常、と言ったら怒られるな
使い慣れている人との違いと言えばいいのか
自分でやってみても、彼がやって見せたように綺麗にセットできないのだ。蝶の形が崩れたり、鍋蓋がすっぽり納まらなかったりで、どうもうまくゆかない。
でも、これは自分だけが不器用だというわけではなさそうだ。この製品、1996年のカタログで新製品として登場したものの、1998年のカタログからは消えてしまっている。同じく針金を曲げて作った(恐ろしく乱暴な表現で申し訳ない)コーヒーバネットがロングセラーになっているのに較べて、あまりにも短命ではないか。

カタログを見ていたら、あることに気がついた。当時ユニフレームにはカセットボンベ3本のガスを相互に消費して使うというユニークなツーバーナー『US-3000』という機種があったのだが、1996年のカタログを見るとマイナーチェンジされて「鍋の蓋が掛けられる切り込みフード」が装備されているのだ。善意に解釈すれば「『US-3000』を持たないユーザーのために『蝶のフタ掛け』を用意しました」ということになるのだろうが、意地悪い見方をすれば「『蝶のフタ掛け』が信用できないので独自に装備した」ともとれるし…さて、真相は?
ちなみに、我が家もその後US-1800を購入したらまったく出番が無くなってしまった(^^ゞ
More

このサイトはアウトドアグッズに関して
ウェブログの形式を利用した
「個人的な感想をまじえた図鑑」を意識しています
図鑑だったら表紙を作らないのか?
表紙があり、インデックスがあって各項目に続く
たしかにそのスタイルがオーソドックスです
システム上、未来の日付で投稿すれば
常にその記事が最上位に表示されますから
そこを表紙とすることは可能です
でも、あえて表紙は作りません
ふらっとアクセスしたときに
前と違った記事が冒頭に表示されていることで
新しい項目が追加されたことが判る
…ウェブログ形式の特性の一つがそれだと思うのです
まぁ、完成すれば最後に表紙を作るかもしれませんけどね
でも、いつまでも未完のまま続けてゆきたいものです
ウェブログの特性といえば
コメントやトラックバックもそうですね
アクセスしてくださった皆さんからのフィードバックで
すでに書いた記事が発展してゆけます
時にはアウトドア談義に花が咲いたり
あるいは議論になることもあるかもしれません
あまり意気込むと長続きしないから
コツコツと書き込んでゆきますね
時々思い出したようにふらっとアクセスして
冒頭の記事が替わっていたら
立ち止まってくださいな(^^)